手が汚れる糊(のり)の効能

手を汚さないように進化してきたのり。でも、手を汚すことが大事な時期もある。大人もたまには童心に帰って、のりの感触を味わってみては?

こんにちは!短大の美術教員、篠木です。
先日、ゼミの中で学生とこんなやりとりがあったのね。

ほお〜知らないんだってびっくりしたんだけど、振り返ると小学校教員の時だって、指が汚れるのが嫌なのか子どもたちはほとんどスティックのりを持ってきてたよね。

そういや〜糊(のり)ってどうだったかな〜って思ったんで調べてみました!

このタイプは「デンプンのり」

1899年に薪炭商を営んでいた木内さんという人が、炭を小分け販売するための袋の糊付けのために、米デンプンと防腐剤を用いた保存可能なのりを開発したそうな。
んで、戦争などの紆余曲折を経て、さらに質の高い、劣化しにくいのりが開発されていくのね。

私たち世代がよく知っているチューブのり(大学にあったのもこの大型タイプ)は昭和31年から形はほぼ変わってないんだって。

詳しくはCOMZINE bachnumber「ニッポン・ロングセラー考 ヤマト糊」を読んでね。
 ヤマト株式会社さんの歴史もあって、興味深い記事が書かれています。)


面白かったのは、経済成長著しい1950年代に事務職で働く女性たちが「のりで手を汚したくない」と開発されたのがチューブ式ってこと。
それまではボトル容器に入ってて、指かヘラでのりをすくってたのね。

それから1970年代にマニキュアを塗るのが当たり前になった女性たちから、「手を汚さずにぬれるのりが欲しい」ってことで出てきたのが液状のりの「アラビックヤマトのり」。
(私は個人的に「水のり」って言ってたけど、これみんな言うのかなあ?)

さらにそれが現在主流になっているスティックのりに移り変わって、最近では「テープのり」も出てきてるよね。

左が液状のりのアラビックヤマトのり。右がスティックになった固形アラビック。

余談だけど、ヤマトさんののりってすごく質がいいのね。
以前にも書いたけどヤマト社から発売されているフセンシリーズは、その粘着面が紙に対して張り具合も剥がれ具合も絶妙なの。
のりの会社が作ってるフセンだから、すごいなあってどの製品を使っても思うのだ。

手が汚れないように進化したのり。でも、手を汚すことってとっても大事。

そんな風に、手が汚れないように(特に女性が?笑)って要望から進化していったのり。
それもとても大事だと思うけど、実は手を汚すことが大事でもある。

例えば大学の仕事で幼稚園や保育園に行くけれど、そこでは従来のデンプンのりを使って製作をしてる子どもたちの姿があるのね。

小さい頃に糊のぬた〜っとかねば〜っとかいう感触を味わうことは、子どもの心と体の成長にとってもいい。

ちょっと年齢が上がってくると、どのくらいの量をつければいいかとか、どのくらい放置するとのりが乾くとかも体感的にわかってきたりする。
その体験が思考力や創造力を生み出すんだな。


だからきっと保育現場ではあえてボトルに入ったデンプンのりを使ってると思うのね。

大人も普段はきっとスティックのりやテープのりを使ってるんだろうけど、たまにはデンプンのりや水のりで童心に帰ってみてもいいかもね。^^


話題にした大好きなヤマト社のHPはこちらだよ。

余談だけど、最近アラビックヤマトの液状のりが白血病の治療に活用できるって話題になったよね。どこまでのりは進化するのか。続きの話が聞けるのが楽しみだ〜^^

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